人手不足の先にある“安全維持”への解決策 SEQSENSE株式会社の「警備ロボットで実現する持続可能な社会」

地方の施設・警備運営において、労働力を支える人員の母数そのものが急速に減少しています。

例えば、国土交通省の資料によれば、日本の生産年齢人口(15~64歳)は1995年に8,726万人(総人口比69.5%)をピークに、2023年10月時点では7,395万人(同59.5%)に減少しています。働き手の母数が着実に縮小し特に地方では若年人口の流出・高齢化が進行しており、警備・案内を担う人員の確保が難しくなっています。

また、警備業界においては警備員数が全国的に減少傾向にあり、例えば、警察庁発表資料によると、令和4年12月末現在で警備員数は58万2,114人であり、前年と比べて7,824人(約1.3%)減少しています。警備サービスを提供すべき施設・敷地の巡回や案内に必要な人員配置に空白・負荷が増しており、特に夜間・閉庁後の巡回や来館者案内など「人手頼み」の警備・案内業務では配置が困難になりつつあります。

働き手母数や警備員現有数の減少という課題が、地方の施設運営、警備・案内体制において人材確保・配置負荷・コスト増・夜間安全確保・案内担当職員の負担へと構造的な問題を生んでいます。

このような状況を受けて、SEQSENSE株式会社は自律移動型警備ロボット「SQ-2」を提供しています。独自の3次元センサー(3D LiDAR)を搭載し、詳細な3次元マッピング・歩行者や動体の検知・環境の変化に応じた自律移動が可能であり、 立哨・巡回・来館者対応をロボットが担うことで警備人員の配置負荷を低減し、人件費・管理コストの削減にもつながります。さらに、定期的な遠隔アップデートにより常に最新の状態で運用が可能です。

今回、SEQSENSE株式会社の営業部 熊田氏、広報部 椎名氏に自律移動型警備ロボット「SQ-2」の詳細を伺いました。

引用:国土交通省 国土交通白書2024
https://www.mlit.go.jp/statistics/file000004/html/n1111000.html

引用:警察庁 令和5年版警察白書
https://www.npa.go.jp/hakusyo/r05/honbun/html/z2242000.html

目次

地方の施設の老朽化や人材不足の課題

ーー警備ロボットを開発した背景について教えてください。

熊田氏「我々のロボットは、もともと地方の課題を直接解決するために作ったわけではありません。会社としてのミッションは、人手不足の中でサービスロボットをどのように社会に実装できるかという点にありました。明治大学のプロジェクトから始まり、自律走行ロボットの研究を社会問題の解決に応用することを目指す中で、人手不足が深刻な業界を探し、清掃など既にロボット化が進む分野ではなく、まだ難しいとされていた警備領域に焦点を当てました。」

ーーなぜ警備という領域に注目されたのですか。

熊田氏「警備業務は人に頼る部分が大きいため、DXによる大幅な効率化の余地があります。我々はこの点に着目し、自律走行技術を活かした警備ロボットを開発しました。現場に投入すれば自律的に動き、現場の人が容易に使えるよう設計しています。現在では約80台が実際に警備業務の一部として稼働しています。」

ーー地方自治体が抱える施設運営の課題をどのように捉えていますか。

熊田氏「地方自治体の庁舎や市庁舎と呼ばれるような建物は、戦後の1960年代、高度成長期に多くが建てられました。当時は、住民が集まり行政サービスを受けるための拠点として機能を持たせた庁舎が各地に整備されました。しかし今、それらが老朽化し、建て替えが必要な時期を迎えています。」

熊田氏「ただ、全ての自治体が潤沢な行政予算を持っているわけではなく、災害後に再建すら難しい地域もあり、収入減少と人口減少の中で、建設や運営を効率化しなければならない時代になっています。経営体制の見直しとして、警備や清掃をどこまで減らせるか検討する動きが広がっており、清掃ロボットや警備ロボットの導入を検討する自治体が確実に増えています。」

日本の警備業に最適化した自律移動型ロボット「SQ-2」

引用:SEQSENSE株式会社 HP

ーーSQ-2とはどのようなロボットですか。

熊田氏「SQ-2は自律移動型警備ロボットで、現場での巡回や立哨といった警備業務を代替するロボットです。完全に警備員の代わりになるわけではなく、ロボットが得意な業務をSQ-2が担い、人にしかできない業務を警備員が行うという分業で、現場の負担を減らすことを目指しています。」 

ーーSQ-2の技術的な特徴について教えてください。

熊田氏「SQ-2は明治大学発の自律移動技術を基盤に開発されており、移動精度の高さはお客様からも高く評価されています。開発から製造、営業、販売、保守までを自社内で完結できる体制を持ち、お客様の要望に対して迅速に改善を行える点も強みです。社内でフィードバックがすぐに反映される仕組みが整っており、スピード感のある開発が可能です。」

SEQSENSE株式会社 自律移動型警備ロボット「SQ-2」

ーー他社の警備ロボットとの違いはどこにありますか。

熊田氏「日本の警備業やビル管理の仕組みは非常に独自の進化を遂げています。SQ-2は、誰がどのように使うか、どんな経済的メリットを生むかといった点を丁寧に整理し、現場の業務改革やDX推進の一部として導入できるよう設計されています。単なるカメラ付き台車ではなく、業務効率化の実働ツールとしての信頼を築いています。」

ーー開発体制や今後の展望について教えてください。

熊田氏「我々は日本市場に最適化した開発・製造・営業体制を国内で構築しています。     ロボットという未知の存在を“安心して使える形”で提供する。これがSEQSENSEとしての使命であり、我々のサービスの核になっています。」

“安心と効率”を両立した現場改革

引用:SEQSENSE株式会社 公式YouTube

ーー導入企業との調整はどのように進めているのでしょうか。

熊田氏「削減ありきの非常にシビアな調整をしています。お客様は“プラスアルファのコストで導入するほど甘くない”という姿勢ですから、“この人員を減らしましょう”と提案する際には、本当に減らせるのかをしっかりと議論し、具体的な業務削減を前提に導入しています。そうした現実的な対話の中でロボットが採用されています。」

ーー実際に導入された現場での印象はいかがですか。

熊田氏「ロボットは威圧感があるように見えますが、一般の利用者には親しみやすく安心感を与えています。悪意のある人に対しては抑止力として機能しつつ、通常の来館者にとってはフレンドリーな存在となっており、オフィスビルなどでは、テナントや従業員にアンケートを実施したところ、“警備員が巡回するよりもロボットが動いているほうが安心できる”という声が多く寄せられています。」

ーー利用者や自治体からはどのような評価が寄せられていますか。

熊田氏「先進的な取り組みとして評価されています。スタートアップと連携してまちづくりを進める自治体や企業にとって、ロボットが稼働すること自体がランドマーク的な価値を持ちます。スマートプラットフォームのような大規模投資を行わずとも、“人的な取り組みをデジタル化している”というメッセージを視覚的に示すことができ、見た目のインパクトも大きく、安全性を確保したうえで導入効果を実感していただいています。」

ーー導入効果の実感について教えてください。

熊田氏「事前に業務効率化や人員配置を綿密にすり合わせたうえで導入しているため、実際の現場では“安心感が増した”“建物全体のイメージが先進的になった”といった評価をいただいています。見た目の印象と実際の運用効果の両面で、導入の意義を感じていただけていると考えています。」

警備ロボットで社会を「維持」する未来へ

引用:SEQSENSE株式会社 HP

ーーSEQSENSEが目指す社会像について教えてください。

椎名氏「日本は人口が減り、働ける人材も減少しており、決して明るい未来とは言えませんが、その状況をロボットやSQ-2の技術で“上げる”のではなく、“維持する”ことを目指しています。ロボットが社会の中で当たり前の存在となり、どの施設にも自然に導入されている――そんな状態を目標としています。」

ーーAI技術との関わりについて教えてください。

熊田氏「最近は生成AIや大規模言語モデルなど、人間のように話したり絵を描いたりする“マジックのようなAI”が注目されていますが、警備ロボットに求められるのは“正しい業務を正しく、安全に実行する”ことです。SQ-2では通行人を検知し、それが人かどうかを識別し、動きや速度を予測します。また、人が倒れている場合や、夜間に人の存在を検知した場合は警備員に向けて通知を出す 。そうした求められている業務を確実に行うことが重要です。」

ーーAIの活用は今後どのように広がっていきますか。

熊田氏「SQ-2は、人や障害物を避けながら自律移動できる機能を備えています。今後はそのAI認識機能をさらに拡張し、警備ロボットとして対応できる業務の幅を広げていく計画です。現場から“こういうことができると助かる”という声をいただき、それを開発に反映させる形で進化を続けています。高度なAIによる複雑な判断ではなく、現場で本当に必要とされる認識や行動を積み重ねることが、SEQSENSEの目指す方向です。」

ーー最後に、ロボットの社会実装についてどのように考えていますか。

熊田氏「我々が目指しているのは、“ロボットで社会をより便利にする”というより、“社会を今の形で持続させる”ことです。少子高齢化が進む中で、人手が足りない領域をロボットが補完し、人が安心して暮らせる社会を支える。そのために、現場に寄り添ったロボットの開発と社会実装を今後も進めていきます。」

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