生徒の学習成果や理解度において、地方と都市部の間で差が見られます。文部科学省の「令和5年度 学校基本調査」によれば、大学進学率(大学学部への進学率、過年度卒含む)は57.7%で、前年比1.1ポイント上昇し過去最高を更新しましたが、地域差が大きく、特に進学率が平均を大きく下回る県も存在しています。
さらに、令和6年度全国学力・学習状況調査では、小学校第6学年の国語の平均正答率は67.8%、算数は63.6%であるのに対し、中学校第3学年では国語が58.4%、数学が53.0%と、主要教科において正答率が減少する傾向が見られました。
これらの結果は、一斉授業の形式では得意な生徒と不得意な生徒との間で習熟度の差が広がりやすく、特に算数や数学などの理解が不十分なまま進むケースがあることを示しています。そのため、教師は生徒一人ひとりのつまずきや理解不足に気付くタイミングが遅れ、個別対応が難しくなっています。結果として、生徒の学習効率や意欲に悪影響を及ぼし、長期的な学びや進路選択の幅にも影響を与える可能性もあります。
こうした課題に対する有力な解決策として地方自治体での導入が進んでいるのがCOMPASS社のキュビナは、小学1年~中学3年の主要5教科に対応し、手書き入力の他、デジタル教材ではあまり対応されていない定規やコンパスを使った作図や関数グラフ作成にも対応しています。また、AIが生徒一人ひとりの習熟度とつまずきのポイントを解析し、最適な問題を自動出題するため、学習の個別最適化が実現し、理解度の差を縮めることができます。さらに、教員向けダッシュボードにより、生徒毎の解答数や単元習熟度、正答率などを直感的に把握でき、教師の負担を軽減し、つまずきの早期発見などを可能にします。基礎学力の定着に課題のある地域においても学習効率を高め、教育格差の是正や学校関係者への成果可視化に貢献します。
今回、キュビナを導入している東大阪市、長浜市、門真市の3市にインタビューを行い、それぞれの現場での導入背景や効果、今後の活用方針について詳しく話を伺いました。
引用:文部科学省 令和5年 学校基本統計結果
https://www.mext.go.jp/content/20230823-mxt_chousa01-000031377_001.pdf
引用:文部科学省 令和6年 全国学力・学習状況調査の結果公表及び調査結果の 活用や取扱いについて
https://www.mext.go.jp/content/20240729-mxt_chousa02-000030972_1.pdf
教育格差の課題解決につながるAI教材「キュビナ」

キュビナは、生徒一人ひとりの学習理解度や定着状況に応じて、AIが最適な問題を出題するアダプティブラーニング教材です。小1〜中3の主要5教科(算数・数学、国語、理科、社会、英語)に対応しています。
操作性にも配慮されており、手書き入力や定規・コンパスでの作図、グラフ作成など、紙教材に近い自由度と直感的な操作性が備わっています。教科書の目次と同じ章立て・見出し構成で学習できる機能や、教科書の内容に準拠した問題も搭載されており、授業や家庭学習での活用をよりスムーズにしています。
さらに、教員向けダッシュボードをはじめとする学習データの可視化機能により、教員はクラスや生徒ごとの解答数・習熟度・正答率などを把握でき、効果的な指導やフォローが可能です。
【東大阪市】知識・技能の定着の課題を解決!AIドリルで知識・技能を強化

ーーキュビナ導入の背景と目的を教えてください。
大谷「キュビナ導入の大きな目的は基礎学力の定着、特に知識・技能の部分です。東大阪市は全国学力学習状況調査などで全国平均に届かない状況が続いており、知識・技能と思考・判断・表現の両面に課題があります。その中でも知識・技能は授業外でも補える部分があるため、AIドリルであるキュビナを活用し、学校外でも定着を図ることを狙いました。授業では先生が教えるべきところは教え、知識の部分はキュビナで補い、生徒がより思考力や探究学習、協働学習に時間を充てられるようにしています。」
ーー基礎学力の状況は以前から課題だったのでしょうか。
大谷「はい、以前から全国平均を下回る状況が続いています。東大阪市は大阪府で3番目に人口が多く、児童生徒数も多いですが、依然として中々全国平均に届いていない状況です。」
ーー先生の負担や個別最適な学習環境についてはいかがですか。
大谷「キュビナの導入によりプリント準備や小テスト作成、採点にかかっていた時間が削減され、児童生徒の弱点分析も自動で行えるようになりました。現場からは印刷や採点に費やしていた時間がなくなり、授業改善につながっているという声が上がっています。」
AIドリル「キュビナ」で基礎学力と学習意欲を同時に引き上げる

ーーキュビナはどのような特徴や機能があるのでしょうか。
大谷「キュビナは基礎学力、特に知識・技能の定着を目的としたAIドリルです。1問1答形式で単元ごとに細分化された問題が用意されており、昨年度から教科書準拠にも対応しております。先生は『ワークブック』機能を使って、小テストや授業冒頭の確認テスト、夏休み課題などを設定・配信できます。採点は自動ででき、解説も即時表示され、間違えた問題は復習に組み込まれます。評価はA・B・C・Dの4段階で、間違いがなくなるまで繰り返し学習する仕組みです。また、CBT(コンピューターベースのテスト)機能にも対応し、将来的な全国学力調査のCBT化にも備えられます。」
ーー教職員側のメリットはどのようなものがありますでしょうか。
大谷「『活用レポート』という機能で、このレポートにより児童生徒の取り組み状況や時間帯、教科ごとの学習量を可視化できます。授業改善や個別指導、保護者面談時の具体的なフィードバックが可能になります。また、紙のプリント作成や採点業務が不要になり、現場の負担軽減にもつながっています。」
ーー学力面での成果は出ていますか。
大谷「定期的な検証では、利用頻度が高いほど学力向上が見られています。利用頻度の高さが成果に直結し、習熟度に関しても以前より定着しています。今年度は昨年度と比べ、5〜7月の活用率が全ての月で大幅に上昇しています。子どもたちが自主的に選択して使える仕組みにしていることも、継続利用につながっていると感じます。」
東大阪市が挑む教育の未来と持続可能なICT活用

ーー他自治体がキュビナを導入する際の課題について教えてください。
大谷「ネット環境の整備が課題で、大規模校で一斉利用する際に回線が不安定になることがあります。さらに、ITが得意な先生は積極的に使いますが、苦手な先生にとってはハードルが高い場合もあり、メリットを繰り返し伝えたり、得意な先生が使い方を共有する体制づくりを進めています。」
ーー読者へのメッセージをお願いします。
大谷「一言で言えば『どこでも学び続けられる』ことです。朝5時から学習している児童もおり、塾に通っていない子どもたちにとっても学びを支える存在になっています。紙教材の限界を超え、新しい問題や類似問題がAIによって自動的に提供され、解説も表示されるため、先生や指導者がいない環境でも学びが継続できます。これは非常に大きな価値です。」
ーーその他に発信したいことはありますか。
大谷「今年度、新たに『みらい教育室』が設置されました。教育の未来を見据えた取り組みを行っており、InstagramやXで学校現場の様子を発信しています。そこではキュビナを使っている様子や、導入によってどう変わったかの動画も公開していますので、ぜひ見ていただきたいです。」
東大阪市教育委員会公式X:https://x.com/higashiosaka_ME
東大阪市教育委員会公式Instagram:https://www.instagram.com/higashiosaka.mirai.education

【長浜市】経験に依存した学習支援の課題を解決!データ活用で個別最適化を実現

ーーキュビナを導入した背景を教えてください。
久保田「AI機能の精度が高く、自分の苦手分野や学習すべき内容をリコメンドしてくれるため、学習知識の定着だけでなく、反転学習や自己調整学習といった手法も授業で実現できると感じ、活用を進めています。」
ーー導入前の学習方法はどのようなものだったのでしょうか。
久保田「キュビナを導入する前は従来通り紙のドリルを使っていました。紙に書くということも大切ですので今は学年や教科に応じて使い分けています。キュビナでは、子どもたちが何につまずいているか、どのくらい取り組んでいるかを適時把握できますし、採点時間を削減できるなど、さまざまな観点から有効に活用ができます。」
前学年もさかのぼれるキュビナが実現する個別最適化の学び
ーーサービス内容について教えてください。
久保田「キュビナは教科書準拠となっており、単元を選択すると授業に合わせた問題を配信することができます。自分の学年だけでなく前の学年の問題にも取り組めるため、つまずいた箇所を前の学習にさかのぼって復習し、現在の学習に繋げられます。」
ーー運用状況や今後の拡大予定はありますか。
久保田「キュビナは主に学習の定着部分を補っています。教師や子どもの活用力が上がってきていますので、引き続き学力向上につながる活用を進めていきたいと考えています。」
習熟度ランクが生徒のやる気を引き出す

ーー生徒の学習意欲や取り組み状況について教えてください。
久保田「学習履歴で定着度がA、B、C、Dと表示され、BならAにしたいといった目標意識が生まれています。使い方はそれぞれですが、学びのツールとしては定着しており、子どもたちは継続的にキュビナに取り組んでいます。」
ーー教員側から導入して良かったという声はありますか。
久保田「採点時間を削減できることや、宿題の出しやすさに対して前向きな声をいただいています。また、例えば夏休みにプリントを渡すと取組状況は分かりませんが、キュビナで宿題を出すと状況を常に確認できます。1週間ごとに課題を出すことで一気にやってしまうのを防ぐこともでき、学力だけでなく生活面が心配な児童の状況も把握できます。先生方がいろいろと工夫して活用いただいています。」
現状把握から的確な支援へ、長浜市が描く教育の新モデル
ーー今後の運用方針はどのように考えていますか。
久保田「今までの活用に加え、今後はテスト機能などの活用を進めたいと思っています。」
ーー読者へのメッセージをお願いします。
久保田「子どもの学力向上や課題改善に向けてどの自治体も試行錯誤されていることだと思います。長浜市では現在キュビナだけでなく教育ダッシュボードを活用し、子どもたちに寄り添った支援ができるように取り組んでいます。デジタルとアナログの良さを最大限に活かして教育と向き合っていきたいと考えています。」
長浜市の教育ダッシュボードへのキュビナのデータ連携に関するプレスリリース:https://qubena.com/blog/pr-20250325/
【門真市】生徒間の学力差の課題を解決!AIで習熟度に応じた学習を実現

ーー今回、キュビナを導入された背景について教えてください。
池田「キュビナを導入した背景として、大きく3つの課題がありました。
1点目は、児童生徒間の学力差です。門真市の児童生徒は学習理解度が十分とは言えない状況にあり、その中で学力差が広がっていました。
2点目は、知識・技能の定着不足です。学習指導要領が示す育成すべき資質・能力のうち、特に知識・技能面が確実に定着できていない状況がありました。
3点目は、教員の働き方改革です。学習理解度が遅れている子どもたちへの教材準備に多くの時間を取られ、プリント作成や印刷、教材作りに大きな負担がかかっていました。」
ーー導入前は、どのような対応をされていたのでしょうか。
池田「私自身、キュビナが導入される前は現場の教員でした。学習の遅れがある子や目標に到達できていない子には、放課後に時間をかけて補習を行っていました。プリントや教科書を使って指導しますが、その時だけ教えて終わってしまうことが多く、習熟や理解の深化にはつながらないケースがありました。これらの課題を解決するため、AIドリルの導入が必要だと考え、令和3年度よりキュビナを採用することになったと聞いております。」
ーー放課後の学習サポートでは、生徒に合わせた教材を用意するなど、教師側の負担が大きかったのでしょうか。
池田「ありましたね。本来であれば、その子に応じたプリントを作成して学習支援できれば良かったのですが、1人1人のプリント作成は難しく、結局は全員に同じ教材を配っていました。それではクラス全員に適しているとは言えず、現実的には合っていない部分が多かったと思います。その点、キュビナが導入されたことで、生徒一人ひとりに応じた課題が提供できるようになったのは良かったです。」
AIが学びを最適化、キュビナが届ける“自分専用”の問題集

ーーキュビナの特徴について教えてください。
池田「キュビナは、児童生徒が解答した内容をAIが分析し、その子に合った問題を出題します。学力や理解が遅れている子にも、習熟度の高い子にも、それぞれ最適な問題が繰り返し提示される点が大きな良さです。」
ーー現在の運用状況と導入経緯について教えてください。
池田「現在、キュビナを採択している学校は約半数です。以前はほとんどの学校で採択されていましたが、今は学校ごとの判断に委ねています。AI搭載のデジタルドリルを使うことで、知識・技能面の向上や教員の働き方改革を進められるよう、学校には伝えています。導入当時はAIドリルといえばキュビナが突出しており、複数候補の中から選定されました。AIの強みである「学び直し」が可能で、つまずき箇所を分析して適切な問題を出せる点が評価されました。」
門真市が目指すAIによる教育の未来

ーー導入後の生徒や教師からの反響はいかがですか。
池田「子供たちは、パソコンで自分に合った問題に取り組めることを楽しみ、意欲的に学んでいました。実証結果としても、利用頻度が高いほど正答率が上がる傾向が見られました。学力の高い層は取り組む量が多いほど、低学力層は利用頻度を増やすほど効果が出ており、数値としても成果が確認できています。」
ーー学校でのキュビナ活用状況はいかがでしょうか。
池田「現在一部の小学校と中学校が導入していますが、学校や教科でニーズが異なるため、それぞれに対するキュビナの活用方法が必要であると考えております。」
ーー最後に、地方自治体や企業へのメッセージをお願いします。
池田「AIはこれから子供たちにとって必要なものだと考えています。学校現場にAIを導入できれば教育は大きく変わると思いますが、予算面の課題もあります。それぞれ事情は異なりますが、子供たちや先生方がAIを活用できる環境が整えば良いと考えています。」

